キリスト教には全然縁がなくて…どんな私立学校が多いのかな?
私立校を受験で検討する時に、「キリスト教」の考えを教育理念とした学校が候補にあがったことはありませんか?
自分自身がキリスト教と関係が薄いと、「キリスト教学校」ってどんな学校なのか想像しにくいですよね。
そこでこの記事では、以下の疑問を紐解いていきます!
- キリスト教系の学校の種類と、その雰囲気の違いは?
- どんな人が向いているの?
- キリスト教学校に入ると、どんなメリットがあるの?
- 自分も信仰するべきなの?
- まとめてキリスト教学校の情報を得られる機会はある?
キリスト教系学校出身・教員としても複数校勤務経験のある筆者が、丁寧に解説していきます
キリスト教系学校の種類
「ミッション・スクール」と呼ばれることもある日本のキリスト教系学校は、大きく以下のふたつに分類できます。
- カトリック系
- プロテスタント系(カトリック系以外)
一言でキリスト教系の学校と言っても、このように、学校ごとにさらに宗派で分かれており、実は、雰囲気は宗派によってかなり異なります。
各宗派の考え方から、学校の違いは生まれるのですが、この記事では2つの学校生活における特徴のみを解説していきます。
2つに共通する特徴
カトリック系・プロテスタント系で雰囲気は異なるといいましたが、もちろん同じキリスト教学校として、共通する特徴も多くあります。
・聖書やキリスト教について学ぶ必修の授業がある
・礼拝やミサ、食事の祈りなど、日常に「お祈り」の時間が設けられている
・英語やフランス語など、語学学習に力を入れている
外国人が創設した学校も多く、いち早く英語やフランス語などを取り入れていたことから、今でも語学学習に力を入れている学校が多いです。この点がキリスト教系学校の人気な理由のひとつなんですね。
また、どの学校も「祈り」の時間を大切にします。生徒は初めは戸惑いますが、1カ月もすると慣れて、暗記してスラスラと唱えています。
「祈り」の時間の最大のメリットは
自分を見つめる時間が無理やりにでも作られる
という点だと、生徒を見ていて感じます。本当に忙しい中高生、授業にテストに部活に、学校を出たらスマホを触り…常に誰かと連絡を取っている状態です。
学校での祈りの時間は、いわば彼女たちの「空白の時間」です。
ふと、自分の今考えていることをみつめたり、誰かのことを思ったり…
この時間の積み重ねが、子どもの心に余裕を持たせるのではないかな、と感じています。
また、キリスト教は、世界の信者数1位の宗教です。グローバル化が進展する中、キリスト教を理解していくと、外国への理解が深まり、より深い交流ができるようになります。
欧米だけでなく、南米やアジアにも信者は多いので、留学や旅行、仕事でキリスト教に関する知識を直接いかす機会も、今後増えていくことでしょう。
大人になって「いい環境にいたなと思う」という卒業生が多いです。
カトリック系の学校の特徴
カトリック系の学校の特徴は以下の通りです。
・伝統的で真面目な校風
・規律が重んじられ、礼儀作法をしっかり身に付ける
・幼稚園から続く「一貫教育」を行っている学校が多い
カトリック系学校は、他国からきた修道会が設立することが多いため、学校の近くにはよくキリスト教の修道院があります。質素な服を着た修道女や、男性の神父がキリスト教の授業を受け持つことも多く、生徒から慕われている印象です。
伝統的な学校が多いからなのか、以前から続く校風を守っている印象です。
もちろん、意見を取り入れつつ年々校則は変化しているようですが、それでも、生徒の真面目・穏やかな雰囲気もあり、大きく変わることもありません。
また、カトリックの人格形成を受け持つという理念から、幼稚園から高校、大学まで続く「一貫教育」が行われている学校も多いです。
中学・高校など途中から入学すると、「内部生」という存在があり、すでに仲が良く戸惑うかもしれません。
とはいえ、見ていて1年もすれば誰が内部生で誰が外部生かというのはほとんど気になりません。
内部生の育ちの良さなのか、学校の教育方針がいきているおかげなのか、新しく来た人を排除するという雰囲気がほとんどないんですね。
カトリック系の学校は、「柔らかい」雰囲気の生徒が多い印象です
プロテスタント系の学校の特徴
プロテスタント系の学校の特徴は以下の通りです。
・個性を尊重する自由な校風
・キリスト教教育に熱心
・自立を重んじ、リーダシップを身に付ける教育
正確にお伝えすると、「プロテスタント」の中にはまた数種類の宗派があるので、「カトリック系以外」と考えてもらえればいいかと思います。
プロテスタント系学校は、日本人が設立した学校が多いです。「新しい日本を自分たちでつくる」という考えのもと創設された学校は、現在の学校の雰囲気も活発な印象です。
プロテスタントの理念はキリスト教徒が読む「聖書」のみを大切にするという考えです。そのため、規律などを重んじるよりも、自由な校風の学校が多く、制服の規定がほとんどない学校も存在します。
最初から、自分で考えて行動することを求められます。
その一方、カトリックの学校よりもキリスト教教育に熱心な学校が多いことが特徴です。
15分程度の礼拝を毎日ホールで行ったり、教会へ参加し、レポートを書くことがあったり…
キリスト教の授業でしっかりテストがある学校も多く、「聖書」を読み込むなど、キリスト教に詳しくなること間違いなしです。
自分で動くことを求められるため、卒業後、リーダーシップをとって会社のトップで活躍する人も多い印象です。
プロテスタント系の学校は、「自分の意見をしっかり言える」生徒が多い印象です
キリスト教系学校のメリット
キリスト教学校に入るメリットを挙げてみます。
・学校行事が多い
・キリスト教系大学への推薦制度がある
学校行事が多い
キリスト教系学校は「祈り」の時間を大切にしているため、イベントが多い印象です。
例えば、定期的なキリスト教の行事としてイースター・サンクスギビングデー・慰霊祭…等のミサや礼拝があり、神父や牧師の先生を外から呼んでお話を聞く機会が多いと思います。
生徒が一堂に集まる機会が普通の学校より多いと、学校の一体感か深まります。
また、様々な大人の話を聞く機会が多いため、進路に悩む中高生にはとても良い効果があるようです。
そしてキリスト教学校のイベントといえばクリスマス!
1日かけてやる学校もあったり、大きなクリスマスツリーが飾られたり、聖歌・讃美歌を練習して歌ったり、
音楽系クラブの発表などもあり、生徒にとってはワクワクする楽しいイベントです。
大学受験の推薦
日本の私立大学には、キリスト教系の学校も多いです。
例を挙げるだけでも、上智大学・青山学院大学・立教大学・同志社大学・関西学院大学…
実は、これらの大学には「キリスト教学校」ならではの推薦入試枠があることが多いです。
例えば、東京にある、上智大学【カトリック高等学校対象特別入学試験】を見てみましょう。
求める人物像…「カトリック精神の素地を身につけている者で、本学への入学を第一志望とする者」
このように、カトリック系の高校のみが使用できる推薦枠が存在します。
各学校のHPで大学進学実績を見ると、進学人数が多い大学を見ることができます。もし目標とする大学がキリスト教系の学校である時は、中学・高校を選ぶときに選択肢にいれるといいかもしれません。
学校推薦は毎年大きな変動があります。自分が大学受験する時に今の推薦制度が残ってるとは限りませんので、理解しておきましょう。
入学したらキリスト教を信仰する必要はあるのか?
キリスト教学校に入学したら、キリスト教を信仰しないといけないの?
学校の教育方針がキリスト教にあるだけなので、信者になる必要は全くありません!
学校の生徒や先生も信者でない人が多くいます。
特に信者になることを催促されることもなく、キリスト教や聖書の授業も、キリスト教の歴史や考え方を理解し、正しい知識を身につけるものなので、割と客観的な授業です。
キリスト教学校に向いている人
カトリック系・プロテスタント系それぞれの特徴が異なりますが、以下の点にまとめてみました。
- ある程度の校則・規則を守ることができ、伝統ある学校で穏やかに過ごしたい人
- 男女別学の学校も多いので、男子校、女子校で過ごすことに抵抗がない人
- 西洋の建築や絵画、歴史などに興味がある人
- 学校単位のイベントが多い方がいい人
3点目は私自身が公立学校出身の友人に言われたのですが、やはり根底のキリスト教を深く学んでいないと、西洋美術や西洋史を理解することが大変らしいのです。
学校に通うだけでヨーロッパの文化を自然に学べる機会があるということはそれだけ「教養の幅」を広げることになりますね!
キリスト教学校の情報を入手しよう
キリスト教学校をまとめて知りたい際には、学校の広報が一気に行われるイベントに参加することをおすすめします。下は一例です。
ご自身の住んでいる地域の受験イベントもぜひチェックしてみてください
おわりに
キリスト教系の学校を、受験を意識して初めて知る方も多いと思います。
最初は少し違和感がある人も、多くの人は入学後すんなりと学校方針を受け入れています。
やはりキリスト教の「人間愛」の精神からなのか、おおらかな生徒が本当に多い印象です。どの教育課程でも、キリスト教系の学校を選ぶ際の参考になると嬉しいです。